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【イベントリポート】

概要

名称:『YRD Presents 新・音の楽園 Vol.1』
日付:2011年11月13日(日)
時間:13:00〜
場所:ヨーロー堂 イベントホール(東京都台東区浅草)


「ようこそ、パラダイスへ!『レストランさやか』、本日オープン!!」

2012/02/21
by K'z (N)

毎年の常套句ですが、今年も早いものであと2カ月。 2ヶ月刷りのカレンダーは最後の1枚になってしまいました。

このところ、以前にも増してイベントと仕事の相性が悪く、月イチ程度の参戦頻度になっていました。 このままでは、持病の「神園さやか依存症」が悪化することは確実。 先週も大阪へ遠征すべく、イベント前夜まで夜行バスやら新幹線やらの空席を照会していたのですが、気象情報を見たところ、大阪はあいにくの雨天の予報。 屋外でのイベントですから、最悪中止もあり得るでしょう。 考えあぐねた末、結局は安全策を採って不参戦となったのでした。

とは言え、一度参戦の意志を固めてしまったわけですから、心の中では火種はくすぶり続けていたのでしょう。 浅草・ヨーロー堂さんでの「新・音の楽園」なるイベントの申し込み開始の告知を見た瞬間、仕事のシフトなどお構いなしにケータイを手に取っていました。 こうなったら、石橋を叩き続けていてもコトは先に進みません。 ヨーロー堂さんに電話をしたあとは、申請期限ギリギリに年次有給休暇取得です。

で、準備万端で迎えた当日。 13:00開演は、従来の「音の楽園」よりも早めの日程です。 ワタシがお店に着いた時には、すでにいつものファン仲間が集まっていました。 例によって、大阪からも新潟からも…。 「音の楽園」は「駅前ライブ」や「店頭キャンペーン」とは違った方式を採っています。 通常はCD等の購入が入場料代わりとなる(ヨーロー堂さんの場合のみ。他のお店さんでは無料観覧可)のですが、 「音の楽園」にあってはCD等の購入義務は発生しない入場料制になっているのでした。 と言っても、今までに「音の楽園」に参戦したひとにとっては、先刻承知のやりかたですがね。

このように独特な性格のイベントですから、ヨーロー堂さんの「店頭キャンペーン」スケジュールにも告知されていません。 これはライブの趣旨と、ライブに対するヨーロー堂さんの常連さんの認識にギャップがあるためだと思われます。 オリジナル曲の販促以外に意図があるイベントですから、一般的な「店頭キャンペーン」だと思って観覧するとがっかりするかも知れません。

さて、これまでに催された「音の楽園」はタイトルから想像できるとおり、テレビ『歌の楽園』で披露された楽曲の数々をさやかちゃんの歌声で再現する企画でした。 それが前回の「音の楽園 Vol.4」で一通り終了した今、「新・音の楽園」では何を見せてくれるのでしょうか? 予想のつかないイベントの開始を待つのも、楽しいひとときです。

いよいよ開演です。 ホワイトとブラウンのコントラストが落ち着いた雰囲気を醸し出す、秋っぽい衣装で登場したさやかちゃん。 まずは、このイベントの趣旨を説明します。 それによると、「新・音の楽園」はテレビ『歌の楽園』になぞらえて、毎回何かのテーマを決めて、それにまつわる楽曲を歌う、というものなのだそうです。 その記念すべき第1回目のテーマは「食欲の秋」、しかも全曲が初披露曲なのだとか。 思わず、胸の中で「来てよかった〜!」なんてつぶやいちゃいましたね。

「今日はリンゴを食べてきました。」のMCとともに『朝ごはんのうた』で「新・音の楽園」がスタートです。 オケが流れるとメロディにあわせて、料理をする仕草、時計を見て時間を気にする仕草をします。 これは、1分半近くあるイントロ部分を有効活用(?)しようと考えた演出らしいです。 慌ただしく朝ごはんを作る情景が手に取るように伝わってきましたが、中でも時計を見たあと「もうこんな時間!」とばかりに、 唇をとがらせた表情がたまらなくキュートでしたよ。

続いて「朝食は和食派?洋食派?」なんて客席に問いかけながら『ロックン・オムレツ』を歌います。 もう20年近く前になるでしょうか。 朝の幼児向け番組『ポンキッキーズ』の中で、小中学生ぐらいの女の子が繰り広げるラインダンスの映像とともに、この曲が流れていたのを思い出します。 さやかちゃんもその件に触れ、「学校が休みの日に見ていた」のだそうです。 まあ、ワタシの世代だと『ポンキッキーズ』よりも『ひらけ!ポンキッキ』だった頃に、「しつけコーナー」を担当していたペギー葉山さんの印象が鮮明なんですがね。

そして、主食のあとはデザートへ。 「デザートにフルーツを食べるひともいますよね。」と『バナナの涙』です。 おニャン子クラブの派生ユニット、うしろゆびさされ組の楽曲でしたね。 『歌の楽園』でも取り上げられた楽曲ですが、さやかちゃんの歌唱では初めてです。 披露にあたって当時のあらゆる映像を参考にしたらしいですが、どうしても歌い手さんの顔のアップシーンが多く、振り付けを覚える資料になるものは僅かだったとのことです。 客席のおニャン子クラブファンからは「言ってくれれば…」の声が出たのに対して、「ネタバレしちゃうやん!」と返すさやかちゃん。 「別に振り付けまで再現しなくてもいいんじゃない?」と言う意見もありそうですが、ここらへんにまでコダワリを見せるのもまた、神園さやかクオリティなんですよね。

そうそう、MCではヨーロー堂さん近隣の話題も出ました。 今日のテーマに沿って(?)「いつも行っていたそば屋さんが閉店していた」とか「となりの100円ショップが寿司屋さんになっていた」とか。 また、『およげ!たいやきくん』では「知っていた曲だけど、何、これ!?この結末!」と。 確かに、前半では束縛からの解放された自由さを歌っていますが、ラストでは一転して悲哀が描かれています。 この楽曲が大ヒットした理由は、単に子供受けしただけでなく、「社会の縮図」「オトナの事情」をも歌っていると言う説が、妙に納得できちゃうのでした。

ライブ後半では、食欲と言えばはずせない『ヨーデル食べ放題』を披露しました。 ヨーデルに乗せて焼肉食べ放題を歌うという、斬新かつ破天荒な発想の楽曲です。 どちらかと言うとコミックソングの範疇に含まれそうなこの楽曲を取り上げ、しかも妥協のないクオリティで披露する姿は、 まさにジャンルを問わないさやかちゃんの本領発揮と言えるでしょう。

「"最後の晩餐"で食べたいものと言ったら、焼肉とお寿司と、お母さんのひじきですね。」とのさやかちゃんの言葉に続くのは、 「新・音の楽園 Vol.1」ラストの曲、『世界一ごはん』です。 植村花菜さんが歌う、ハウス食品のCMに起用された楽曲でしたね。 上京してひとり暮らしをする女性が、レストランの豪華なメニューよりもお母さんが作った手料理がいちばんだという、母への慕情を綴った作品です。 いささか歌詞が説明過多に感じたりもしますが、これは近年の楽曲全般に共通した傾向と言えるでしょう。 『世界一ごはん』で言うならば、サビ以外の歌詞まわしがもっと整理されていたら、聞くひとがさらにそれぞれの情景を胸に描けるんじゃないかなぁ…と。

という具合に、単に食べ物ソングを羅列するのではなく、朝〜昼〜おやつ〜夜、と一日の時系列順に歌唱が展開される手法は、実に巧妙であるとしか言いようがありません。 「朝ごはん」で始まり昼食は「パスタ」、「セロリ」と「おさかな」も添えてバランス良く。 おやつは「たいやき」、夕食は「食べ放題」。 でも、そうは言いながらも、お母さんが作ってくれるごはんが「世界一」と言うところに、さやかちゃんらしさを感じます。

こんな具合で「新・音の楽園 Vol.1」は進行しました。 前述の通り、オリジナル曲を一切披露しないイベントは、異質極まりないものだと言えるでしょう。 どんな楽曲であっても自分のものにしてしまうさやかちゃんに、改めて無条件降伏しちゃいましたね。

できれば、もう少し催行の告知を徹底するなどして、お店の常連さんをはじめとするもっと多くのひとに観覧して欲しかった気もします。 カバー曲の数々を通して、彼女のオリジナル曲にも関心を持ってもらえるでしょうから。

終演後、何だか無性にたいやきが食べたくなっちゃいました。 どこかで買って、食べながら駅まで歩きましょうかね。 そんな、ひとりで気分が高揚している帰路ですが、「新・音の楽園」早くも「Vol.2」が待ち遠しいです。


曲目

【テーマ「食欲の秋」】
  1. 朝ごはんの歌
  2. ロックン・オムレツ
  3. バナナの涙
  4. セロリ
  5. おさかな天国
  6. たらこ・たらこ・たらこ
  7. 乙女 パスタに感動
  8. およげ! たいやきくん
  9. ヨーデル食べ放題
  10. 世界一ごはん

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