since 2009/06/01


【イベントリポート】

概要

名称:『神園さやかのコラボライブ ゲスト:水瀬あやこ』
日付:2010年07月19日(月)
時間:14:00〜
場所:カフェスギタ(埼玉県蕨市)


「蘇州〜京都〜横浜〜トルコ。世界をめぐる華麗な歌の旅へ。」

2010/09/29
by K'z (N)

思い起こせば、それは2007年のことでした。 東京は八重洲にあるライブハウスで催された「Tokyo Collection」なるイベント。 複数のアーティストが競演するライブで、数ヶ月おきに全4回が催行されました。 そしてこのイベントには、従来とは一線を画する方向性を拓くということで、さやかちゃんも出演しました。 「東コレ」のいちばんのウリは、生バンドを従えて歌うという点でしたね。 これが定着した結果、その後はさやかちゃんの多くのイベントで同様のスタイルが見られるようになったのです。

あれから3年、さやかちゃんとともに「東コレ」で皆勤賞だった水瀬あやこさんとのコラボライブが催行されると聞き、 少しばかり気持ちがざわめいたのでした。 あの時のような輝きに再会することはできるのでしょうか。

さて、前日は福島でのイベント参戦ということで、ちょっとした小旅行気分。 馴染みのファン仲間とディナー&談笑に花を咲かせていたら、あっと言う間に真夜中過ぎになってしまいましたが、 さやかちゃんに会いに行くとあらば睡眠不足もなんのそのです。

図らずも、今日の会場も5月に岩波理恵さんとのコラボライブが催された時と同じ、 埼玉県蕨市のカフェスギタさんのイベントスペースです。 今日は何が飛び出すのか、5月とどう差別化を図るのか、まさに興味津々で開演を待ちます。

クマゴロウ氏がライブのタイムテーブルと諸注意をアナウンスしたら、いよいよライブがスタートします。 まずはさやかちゃんと水瀬あやこさん、ふたりそろって『恋のバカンス』と『待つわ』です。 岩波さんとのライブと同様のオープニングですが、歌い始めの数フレーズを聞いたとたん、 交流100ボルトを素手で触れたような衝撃を受けました。 上手いとか素晴らしいとかありきたりの言葉では言い表せられない、かと言って他に適当な表現が見あたらない感じです。 今日は違うぞ…。 まだ開演から間もないというのに、ふたりのハモリに思わず身震いをしてしまったほどです。

ご挨拶に続くMCで 「今日はクオリティ高いですよ。あやちゃんだからこそできる綺麗なハモリですよねぇ…。」 とさやかちゃん。 そして、ドッと沸く客席の面々。 笑いのワケは…、年上の水瀬さんをあやちゃんなんて親しげに呼んでいるからではありません。 気になるかたは、過去のイベントリポートを読み返してみて下さい。 水瀬さんも、 「さやかさんとは、前に一緒に歌わせていただいたんですけど…。」 なんて切り出したりして、「東コレ」の戦友どうしの"絆"は今もって健在みたいです。

ステージ上のふたりも、ワタシたち客席もすっかり温まったところで、歌は『UFO』へ。 キャバレーの呼び込みのオニーサンの法被を思わせるスパンコールの衣装は、こういうことだったんですね。 1977年にこの楽曲を歌ったのはピンクレディー。 アイドル歌手のセールスポイントである「楽曲の良質さ」「容姿の端麗さ」に 「衣装や振り付けなどビジュアル的な楽しさ」をプラスさせ、確立させた先駆者といっても過言ではないでしょうね。 当時小学生だったワタシの周りでも、同級生の女の子がよくモノマネしてましたっけ。 ところで、さやか&あやこの『UFO』、歌唱はもちろんのこと振り付けも完璧でした。 ご本家の安直なフルコピーは邪道!などという声も聞こえてきそうですが、 それはこの手のカバーの多くにありがちな「特徴のある一部分のみモノマネをする」ケースが氾濫しているからかも知れません。 最初から最後まで一寸の隙もなくご本家になりきるのは並大抵ではないでしょう。 その点、今日のふたりは両手クネクネ、両足パカパカ、演出やネタでは片付けられないほど真っ正面から挑むことで、 実に見応えがありました。

この後は、さやかちゃんと水瀬あやこさん、それぞれのソロのステージです。 水瀬さんは『夜来香』『蘇州夜曲』など、昭和歌謡を主体に歌っている歌い手さんの中でもひと味もふた味も違う独特な世界を繰り広げました。 そして、それでいてMCでは肩肘張らない和やかなおしゃべりが。 海外でのエピソードで、 「現地のアーティストのみなさんにも、とても可愛がっていただいて…。」 と話すや、客席のある空気を感じたのか 「いやいや、女どうしですから…。」と意味不明な切り返し。 中でも、フィンランドの楽曲を英語訳したものをさらに日本語にしたという『ひかり』は、ここでしか聞くことのできない逸曲でした。 音源化されていないのが、残念でなりません。

一方、さやかちゃんは『北風よ』『横浜いれぶん』などを披露しました。 『北風よ』は以前にも歌っていますが、その時は原曲どおりに「私は今16と」と年齢を歌う歌詞を、彼女の実年齢の「23と」に変えていました。 今日はどうするのかと期待していたら、「私は今しあわせと」だって。 この歌詞は、武田久美子さんバージョンですな。 いっぽう『横浜いれぶん』は、彼女が「海の曲」の中で真っ先に思いついた曲だそうです。 ひそかに、ワタシは『17才』『想い出の九十九里浜』を連想していましたっけ。

それぞれのソロステージが終わったら、しばしの休憩を挟んで後半戦に突入します。 そのスタートは『トルコ行進曲』。 えっ?『トルコ行進曲』って、あの曲ですか? いぶかしげに見守る観客をよそに、由紀さおりさん&安田祥子さんご姉妹でお馴染みの『トルコ行進曲』を披露です。 曲が紹介された時には、何のネタなのか?と思いましたが、いざ歌唱が始まるとその迫力に圧倒されっぱなしでした。 さやかちゃんが自分のパートを最大限に盛り上げたら、水瀬さんもさらに(いい意味で)覆い被せるように楽曲をグレードアップさせていきます。 「お互いがお互いを高め合ってこそ成立するのが『コラボライブ』の真の姿なのだ」ということを、まざまざと見せつけられましたね。 歌い終わっても、客席は沈黙のまま。 音符すら読めないワタシですが、冗談ではなく身動きさえできませんでした。 その沈黙を破ったのは、さやかちゃんでしたよ。 「終わったねぇ〜!」の声に、水瀬さんも「終わったねぇ〜!」と顔を見合わせます。 歌唱中の真剣な表情から一転、いつもの笑顔に戻りました。 さやかちゃんによると前から『トルコ行進曲』をやりたかったものの、受けて立ってくれるアーティストがいなかったんだそうです。 「あやちゃんが受けてくれて、よかったです。」 水瀬さんも、当日までずっと練習しているうちに「らばらば…」の歌詞(?)が「ばらばら…」に反転したり、 挙句の果てには2文字の言葉を耳にするとついメロディに乗せてしまったりしたそうです。 ある時はお寿司を食べに行ったら、無意識に「すしすし…」と歌ってしまったとか。 水瀬さんったら、淑女にもおきゃんな娘にもなれるのね…。 それにしても、こんなに素晴らしい展開が、5月に実現しなかったのは何故!? 過去を振り返るのは、やめにしておきましょう…。

さあ、会場全体が平静を取り戻したら、映画の主題歌が2曲続きました。 まずは、『美女と野獣』のテーマである『Beauty and The Beast』、そして「ダンスをする女の子の映画の曲です。」と紹介された『Flashdance』です。 言うまでもなく、両曲とも英語詞バージョンでした。 そうだよね、『Flashdance』を日本語詞で歌ったら、映画ではなくテレビドラマの『スチュワーデス物語』になっちゃうもんね…。

終演後は、カフェスギタさんのコーヒーで束の間のティータイム。 さやかちゃんと水瀬さんが、客席のひとりひとりにサイン色紙を手渡してくれます。 温かいコーヒーを味わいながら、たった今終わったばかりのライブを振り返ります。 「このふたり、すごいよ〜!タダモノじゃないよ〜!!」 素直な感想です。 今までの間に、ワタシが見聞きしたアーティストさんの多くも、独自の世界観を持つかたばかりだったと思います。 ラブソングの歌姫やバラードの女王、心はいつも少女の永遠のアイドルなどなど。 でも、その誰もが自分の描く世界を限定してしまい、単一のカラーに終始してしまうアーティストさんがなんと多かったことでしょうか。 日頃、外食オンリーのひとが実は大魚もさばくことができるとか、軽自動車をマイカーにしている女の子が仕事では大型バスを運転している、 なんてカッコイイと思いませんか? 今日のさやかちゃんと水瀬さんを見て、そう思いました。 オーバークオリティは、ダテじゃない。 過ぎたるは、揺るぎなき感動たり。

いよいよ、今週末は「神園さやか バースデーライブ」です。 この調子だと、文句なく期待できそうです。 いつものように、当日を指折り数えながら過ごすことになりそうです。


曲目

  1. 恋のバカンス(二人)
  2. 待つわ(二人)
  3. UFO(二人)
  4. 夜来香(水瀬あやこ)
  5. 蘇州夜曲(水瀬あやこ)
  6. 京都の恋(水瀬あやこ)
  7. ひかり(水瀬あやこ)
  8. 悲しみのほとりで(神園さやか)
  9. 北風よ(神園さやか)
  10. 横浜いれぶん(神園さやか)
  11. 道 -ふるさとから遠く離れて-(神園さやか)
  12. トルコ行進曲(二人)
  13. Beauty and The Beast(二人)
  14. What A Feeling -Flashdance-(二人)
  15. 長い間(二人)

【イベントリポート(2010年)】へもどる