since 2009/06/01
名称:『神園さやかの箱(ボックス)ライブ Ver2.0』
日付:2010年07月03日(土)
時間:(第7の箱)14:00〜、(第8の箱)16:00〜
場所:ヨーロー堂 イベントホール(東京都台東区浅草)
2010/09/18
by K'z (N)
今回で4回目を数える「箱ライブ」、今さら詳細を述べる必要はないでしょう。 歌う曲目をその場で決定する、「ライブ界のロシアンルーレット」とでもいえそうなイベントです。 当初の予定では「月イチ程度のスパンで催していきたい」といわれていましたが、 『ひろしまフラワーフェスティバル』やら新曲リリースやらの影響で、実に3ヶ月ぶりの催行となりました。
JR線と地下鉄を乗り継いで、やってきました浅草へ。 会場のヨーロー堂さんに到着すると、お店の若旦那氏から興味深い情報を得ることができました。 なんと、「テレビの取材が入るので、ライブを思いっきり盛り上げてほしい」とのことです。 しかも、『歌の楽園』を放映しているテレビ東京さんだそうです。 『歌の楽園』でのいつもノリノリなさやかちゃんの姿は、結構視聴者の目にも止まっているらしいですから、 もしかして、敢えて今日を狙って取材のスケジュールを組んだのでしょうか。 ねえ、テレ東さん? 会場となる2階のイベントホールで開演を待つのは、見慣れたファンの面々がほとんどです。 ヨーロー堂さんのような演歌色の濃いお店でのイベントですと、お店の常連さんがかなり目に付くはずなのですが、 今日はごく少数です。
クマゴロウ氏の簡単な前説が終わると、いつものお囃子とともにさやかちゃんが登場。 例によって、サイコロを振って今日の「お題」を決定します。 本日の第1幕は「J-POP」。 さやかちゃんいわく「え〜!? どうして今出るの〜?」。 そうです。 テレビ東京の取材陣はまだ到着しておらず、テレビカメラが回っていないタイミングで 盛り上がれそうなジャンルが出てしまったことが不本意だったようです。
気をとりなおして歌う「J-POP」の1曲目は『No way to say.』。 ワタシにとっては、ここヨーロー堂さんで2005年に催された「クリスマスライブ」で披露された時の印象が強いのですが、 初披露したのは同年の「『あしずり岬』新曲キャンペーン」のリハーサルなんだそうです。 それまで演歌・歌謡曲一辺倒だったキャンペーンで、リハーサルとはいえマネージャーのクマゴロウ氏公認のもと、 初めてお客さんの前で歌ったJ-POPだとか。 この頃から、脱・演歌専業歌手の兆しが表れていたんですね。
続いて、2曲目はKiroroさんの『未来へ』です。 『長い間』と並ぶKiroroさんの代表的な楽曲で、母をテーマにしたものです。 「私の『道』と同じく母を歌った曲なので、とても好きな曲です。」とさやかちゃん。 その共通点のせいか、さやかちゃんのオリジナル曲だといってもまるで違和感はありません。 大好きなお母さんに対する思いをとうとうと歌います。 そういえば、この曲を作ったKiroroの玉城千春さんによれば 「実母が入院したさみしさと悲しさをもとにこの曲を作った」とのことです。 身近な情景を題材にしていることが、多くのひとに共感を与える要因なのかも知れません。
さらに『PRIDE』『ひだまりの詩』など、今回はどちらかというとしっとりと聞かせるタイプの楽曲が主体だったと思います。 テレビ映えするノリのいいラインナップとはいいがたいライブでしたが、これこそが神園さやかの真髄だと再認識させられましたね。 ちなみに、テレ東さんはまだ訪れていません。 クマゴロウ氏からの告知によると「この後、16:00からの回にテレビ東京の取材が入ります。」とのことです。 じゅうぶんに鋭気を養って、第2幕に備えましょう。
さて、テレビカメラが入って、少しばかり緊張感を感じる第2幕。 ライブの行く先を知るのは、サイコロのみです。 さあ、出た目は…。 「フォーク」でした!! 客席のファン一同は苦笑い。 さやかちゃんの「こんにちは〜!」のご挨拶にも、ビミョーな受け答えです。 それは、どちらかというと「おとなしめのフォークでどうやって盛り上がろうか?」と動揺の空気でもあったようです。
歌唱は『真夜中のギター』を皮切りに『野に咲く花のように』へと続きます。 清々しくも力強いさやかちゃんの歌声に魅了されているうちに、あれれ、いつの間にか取材陣は退出していました。 『いちご白書をもう一度』は、まさに1970年代初頭を象徴する楽曲ですね。 学生から社会人になることへの心の揺れ動きが描かれていますが、 学生運動とか高度経済成長とかが取り沙汰された時代ならではの世界観なのでしょう。 ワタシの世代では、社会人になるということがそれほど別世界に旅立つことのようには感じなかったですから。 さやかちゃんの声で聞く「就職が決まって髪を切ってきた」の歌詞にも、そんな学生時代への決別が垣間見えます。 「学生時代に伸ばし続けた髪を卒業を機に切ってしまった」みたいなシチュエーションは、髪を切ったさやかちゃんにダブります。 そう考えると、女性が歌う『いちご白書〜』も捨て難いもんですね。
などと、すっかり自分の世界に浸ってしまっているワタシをよそに、MCでは楽しい話題が展開されていました。 まずは、定番『歌の楽園』関連のネタ。 毎回ツラくも楽しいのが振り付けの練習で、先日も「自宅で自主練習をしていた折に、足をぶつけてアザを作ってしまった。」とか。 おいおい、頑張り過ぎだよ〜。 そして、今日のライブの構成について。 「こんな暗い曲ばかり選ぶなんて、私、病んでたのかな…。」と申し訳なさそうに話すさやかちゃんですが、 いやいや、フォークの世界を具現化するとこうなっちゃうのは、しかたないところでしょうね。
MCの後に「続いての曲は…、中島みゆきさん…。」 思わず、客席一同「……。」です。 渋滞を避けて裏道に入ったら、さらに渋滞、通行止め、一方通行…、なんていうのにも似た状態に、 なんだか妙に楽しくなってきちゃいましたよ。 「中島みゆきさんの楽曲ということは『悪女』か?『わかれうた』か?」と思っていたら、『時代』でした。 薬師丸ひろ子さんも歌っていたこの曲、声質と歌い方によってはヘビーにもライトにも仕上がるマジカルな作品です。 堂々と歌い始めたさやかちゃんでしたが、歌い始めで思わず苦笑の表情を見せたのは「ホントに、今日はどれだけ暗いんだ?」 という思いがふと頭をよぎったのだとか。
とはいえ、なんとか無事に2ステージをこなしたところ…。 いつもお世話になっている日本クラウンのスタッフさんが、陣中見舞いに来て下さっていました。 ご家族とともに臨場されたらしく、3〜4歳くらいでしょうか、スタッフ氏の娘さんをステージ上に招いたりして、 会場内はとてもアットホームな雰囲気に包まれました。 そうそう、「店頭キャンペーン」などでも見受けられるのですが、 チビッコと相対する時のさやかちゃんは、いつも腰を屈めて子供の目線に合わせるんですよね。 ワタシは、そのほのぼのとした光景が結構好きだったりするんです。 さらに、常套句の「さやかおねえちゃんだよ〜♪」が飛び出したら、キモチは一気に臨界点を越えること必至です。
さあ、いよいよラストの曲です。 最後は、パァ〜ッとアップテンポの選曲で『おしえて』を歌います。 言わずと知れた、テレビアニメ『アルプスの少女ハイジ』の主題歌ですね。 奇しくも、今日のさやかちゃんの衣装がハイジのチョッキ(ベストというのかな)姿を連想させてくれました。 大きな声では言えませんが、ワタシの脳裏にはハイジではなく 『山ねずみロッキーチャック』に出てくる主人公・ロッキーが浮かんだのでした。
こんなアンバイに、回を重ねるごとに着実に成長して行くさやかちゃんを見ることができ、 またその成長の場に立ち会うことができる貴重なイベントでした。 次の回も、期待大ですぞ!